道場を始める時に多くの道場長が悩むのが「稽古場所をどこにするか」です。

公共施設かレンタルスタジオか、思い切ってテナントを借りて常設道場を開くのか。大きく分けるとこれら3パターンに分類されますが、それぞれのメリット・デメリットについて知っておかないと、道場を始めたあとにこんなはずじゃなかった。ということも。。。

そこで、今回のコラムでは公共施設、レンタルスタジオ、常設道場の3つのパターンのメリット・デメリットを解説します。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場で指導中
  • 前職は財務省税関で広報や政府開発援助に携わる

公共施設で道場を開く場合

初めにご紹介するのは公民館や体育館など公共施設で道場を開く場合です。

メリット

公共施設で道場を開くメリットは施設の使用料が安いということです。
場所によっては無料で借りられることもあり、道場を維持していくうえでとても大きなメリットとなります。

また、地域によっては駐車場があったり、保護者が稽古中に待っていられるスペースがあるなど、施設としても使いやすいケースがあります。

デメリット

一方でデメリットは次の2つがあります。

  1. 予約が抽選制になっている
  2. 積極的な広報活動がしづらい

1つ目のデメリットの予約についてですが、公共施設という性質上、使用する際は抽選を経て予約を確定させるケースが大半です。
そうなると、利用者が多い施設などでは抽選に通らず、決まった曜日・時間に稽古ができない可能性があります。

毎週、場所が変わったり、時間が変わると稽古生が定着しづらくなるため、抽選に通りにくい場合、大きなデメリットとなります。

2つ目のデメリット積極的な広報がしづらいという点です。
施設によってケースバイケースにはなりますが、基本的に公共施設では営利を目的とした活動は禁止されているため、施設周辺にポスティングをするなど、営利団体と思われるような広報活動をすると、利用ができなくなるリスクがあります。

道場を運営する目的にもよりますが、会員を増やして道場を盛り上げたい場合、このような制限は大きなデメリットとなります。

レンタルスタジオで道場を開く場合

続いてレンタルスタジオで道場を開く場合のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

レンタルスタジオのメリットは公共施設と違い予約が確定し定期的に使用できることです。
基本的に抽選ではなく事前の予約をして利用するため、予約後に使えなくなるというリスクはほぼありません。

また、施設面でも鏡が合ったり更衣室があるなど公共施設より整っていることが多いです。
その他にも営利団体として使用する事が可能なため、広報に制限が無く、広告を出したりポスティングをしたりと稽古生を増やすための活動が幅広く行えます。

デメリット

一方でデメリットとしては公共施設に比べると施設の利用料が高いことです。
地域や広さによって異なりますが、公共施設が3時間で1000円くらいなのに対し、レンタルスタジオでは3時間で5,000円ほど、かかることが多いため道場を維持するための固定費がかかってきます。

稽古生がある程度増えて、会費でレンタルスタジオ代がペイできる状況になるまでは赤字が続くリスクがあります。

常設道場を開く場合

最後に常設道場を開く場合のメリット・デメリットをご紹介します。
ちなみに、ここでいう常設道場とはテナントを借りたり、物件を購入するなどして、施設を自由に使えるケースを指します。

メリット

常設道場の一番のメリットは施設の自由度にあります。
公共施設やレンタルスタジオと違い、自分で道場の内装を決めたり、サンドバッグを入れたりなど高い自由度があります。

また、時間帯による制限も無いため、自分の思うように稽古スケジュールを組むことができます。その他、看板などの設置をすることで、認知拡大効果もあり、会員を増やすための施策を数多く打つことができます。

デメリット

常設道場のデメリットは維持費が高額ということです。
テナント代や物件の購入費用のほか、光熱費や通信費など地域や広さにもよりますが月に10万以上はかかることが大半です。

また、維持費の他に、頭金や改修費などの初期費用も発生します。
貯蓄があり初期費用を賄える場合は問題ないですが、銀行などから借りる場合は融資の審査に通る必要もあります。

まとめ

今回のコラムでは公共施設・レンタルスタジオ・常設道場の3パターンのメリット・デメリットを解説しました。

それぞれメリット・デメリットはありますが、一番大切なのは道場を運営する目的にあった施設を選ぶことです。
あくまでも趣味の一環で極力費用をかけずに行いたいなら公共施設が良いでしょうし、ある程度、道場で収入を得たい。道場を本業にしたいという場合はレンタルスタジオや常設道場が目的に沿う可能性が高いです。

道場の場所は簡単に変えることができないため、安易に決めずに、自分の目的にあった施設を選ぶようにしましょう。